永住許可申請の審査基準、申請における注意点
- tscuerno
- 2024年10月5日
- 読了時間: 7分
更新日:2025年3月22日
永住権を取得した外国人は、日本に無期限で滞在することができます。
さらに、永住権を取得することで、就労の制限がなくなり、日本での幅広い活動が可能になります。
一方で、永住者の在留資格は取得後の在留期間の更新が不要であり、入国管理局が定期的に外国人を確認することが事実上困難になることから、他のビザよりも厳格に審査されます。
審査基準
永住許可の判断は法務大臣の裁量で行われ、明確な基準は存在しません。その代わり、法務省は指標として永住許可に関する以下のガイドラインを公開しています。
◾️永住許可に関するガイドライン(2024年6月10日改訂)
素行が善良であること。
独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。
その者の永住が日本国の利益に合すると認められること。
ア. 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労期間(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していないことを要する。
イ. 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務を適正に履行していること。
ウ. 現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること。
エ. 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
日本での永住を希望する外国人は、このガイドラインに沿って永住権取得の可能性についてある程度判断することができます。以下、各項目について解説します。
1. 素行が善良であること
申請者が法を遵守し、社会的に非難されるような生活を送っていないことを意味します。
以下のようなケースは審査に影響を与える可能性があります。
・過去の罰金や懲役刑
・複数回にわたる交通違反などの違反行為
・過去のオーバーステイ歴
・資格外活動許可違反、在留資格本来の活動をしていない(就労資格なのに働いていない)など
2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
永住許可を得るためには、将来にわたって日本で安定した生活を送るために十分な収入が必要です。そのため、申請人やその家族の年収が審査されます。
具体的な金額は公表されていませんが、日本人の平均年収から算定され、単身世帯で必要な年収は300万円以上が基準とされています。年収は必ずしも本人の収入である必要はなく、永住申請をする家族のメンバーの収入や資産も含め総合的に判断されます。
就労ビザ保持者の場合、年収要件は過去5年間、配偶者ビザの場合は過去3年間が審査され、その期間の各年で年収が基準を超えている必要があります。
3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること。
ア. 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
引き続き10年在留しているうち、永住申請までの直近の5年間は就労資格又は居住資格(配偶者ビザなど)で在留している必要があります。
また、永住権申請までに必要な年数には特例があり、以下の表のような場合は10年を待たずとも申請することができます。
就労資格(経営管理を含む) | 引き続き10年以上日本に在留、そのうち直近5年間は就労資格または居住資格 |
日本人又は永住者の配偶者 | 正常な婚姻生活が3年以上継続、引き続き1年以上日本に在留 ※法的に婚姻が成立していればこの特例が適用されます。配偶者ビザである必要はありません。 |
日本人又は永住者の子供 | 引き続き1年以上日本に在留 |
定住者 | 定住者の在留資格で、引き続き5年以上日本に在留 |
高度専門職70ポイント | 70ポイント以上維持して3年間継続して日本に在留 |
高度専門職80ポイント | 80ポイント以上維持して1年間継続して日本に在留 |
特別高度人材 | 「特別高度人材」として1年以上継続して日本に在留 |
日本への貢献が認められる者 | 5年以上継続して日本に在留 |
「引き続き」の意味
「引き続き」とは、申請者の生活の本拠が日本に継続していることを意味します。在留資格を持たない期間があったり、日本国外での滞在日数が多すぎる場合、「引き続き」とみなされないことがあります。
イ. 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務を適正に履行していること。
「罰金や懲役刑」
「公的義務の履行」
扶養家族を含む税金や社会保険料の適正な納付が審査されます。過去数年の間に未納や滞納がある場合、許可の取得は困難になります。
その他には転職時の入国管理局へ届出や、引っ越した時の市役所への転居届などの届出義務も審査の対象となります。
ウ. 現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること。
在留カードに記載されている在留期間が3年以上である事が必要です。
※在留期間が3年の就労ビザ保持者が家族と一緒に申請する場合、その家族については1年の在留期間でも一緒に申請できます。

永住ビザ申請の際の注意点
永住ビザを申請する際には、何点か注意点があります。下記、注意点について一つずつ詳しく説明させていただきます。
◾️立証責任は申請者側にある
上記の基準を満たしていることを証明する責任は申請者側にあります。したがって、審査当局を納得させるために十分な立証書類を提出することが重要です。
◾️申請中でも在留資格の更新は必要
永住審査は通常の在留資格の審査とは異なります。永住審査中に在留期限が切れてしまうと、更新しなければ不法滞在となるため注意が必要です。
◾️申請には身元保証書の提出が必要
身元保証書を身元保証人になってくれる人に書いてもらわなければなりません。身元保証人は日本国籍者、またはすでに永住権を取得した外国人のみがなることができます。
◾️家族全員で申請するか否か
家族のいる就労資格保持者が永住権の申請をする場合、扶養家族を含め全員で申請することが推奨されています。
家族の中で1人だけが永住者になった場合、他の家族は在留資格を「永住者の配偶者等」や「定住者」に変更する必要があり、この申請は永住申請とは別に行わなければなりません。
一方、家族全員で永住申請を行う場合、家族の1人の不適切なステータス(資格外活動許可違反など)が他の家族全員の申請に影響を与える可能性があります。
※就労資格保持者の家族全員が同時に申請する場合、「家族滞在」の家族は、「日本人・永住者の配偶者等」と同じ年数で申請が可能です(就労資格保持者と同時申請する場合のみ)。
◾️申請中の転職
就労資格保持者が永住申請中に転職した場合、会社を辞めてから14日以内に「所属機関に関する変更届」を入国管理局に提出する必要があります。
また、「就労資格証明書」を取得しましょう。(就労資格証明書は、新しい仕事が就労資格で認められる活動に該当するかどうかを証明する書類です)。
また、退職後3か月以上新しい仕事が見つからない場合、入国管理局が就労資格を取り消せることができる対象期間に入ってしまい、その期間は適切な在留活動を行っていなかったと見なされ、永住申請に影響を与えることがあります。
◾️申請中の日本国外への出国
基本的に、永住申請中に海外出張や旅行は可能です。あまりに長期間日本を離れると「引き続き日本に在留」と判断されない場合があります。
◾️審査にかかる期間
法務省が公表している標準処理期間は4か月となっていますが、実際には6ヵ月から1年前後かかることが通常です。

